AV機器ユーザーの本音

[トップページ][前に戻ります]

『フロン様の声』
使用機器、パイオニア VSA−D10EX

パイオニアVSA−D10EXのインプレッションです。発売開始は、2000年7月から。同社のVSA−D10TXの後継機。特長は、THEサラウンドEXに対応(サラウンドスピーカー用にパワーアンプが2ch分必要)。5.1chの出力段全てに同社お得意のダイレクトエナジーMOS FETを採用。筐体強度を高め、金メッキのスピーカー端子を使うなど音質を意識した設計。

発売当時は、BSデジタルで採用されたMPEG−2 AACデコーダーをAVアンプとして初めて標準搭載。映像入出力にD4映像端子を3つ搭載(入力×2、出力×1)。2000年12月に放送開始予定のBSデジタル放送を意識したAVアンプです。

1.セットアップ

液晶タッチパネルリモコンのグラフィカル・ユーザインターフェスで設定し、D10EXへ転送する仕様。セットアップ内容の確認画面がモニターに出力されます。チャンネル・スピーカー設定は、視聴位置からスピーカーまでの実測距離で設定。10センチ刻みの設定。アナログ5.1ch入力の場合は無効となります。テストトーン設定は0dBを基準にするのでかなり大きな音がスピーカーから出力されます。LFE信号のピークレベルが設定できるので、不用意にメインボリュームを上げすぎた時にもサブーウファーからの音が歪んだり、ウファー自身を痛める心配が無いのは便利。またスモール設定のスピーカーの低音域をSWや他のラージスピーカーに振る場合のクロスオ−バー周波数を80/100/150Hzのいずれかを選択可能。

2.DSP

DSPチップにクリスタル・セミコンダクター社のオーディオ専用24ビットタイプを採用。デコードの性能も良く、映像に遅れて音声がでてくるような違和感もなく、ソースに含まれる弱音レベルの音も正確に拾っている印象。各種のサウンドモードの独断と偏見に満ちた評価は以下の通りです。

・スタンダードモード

ソースに忠実なストレート・デコード・モード。DSPチップやDACの性能の良さと後述する音質傾向から、本機を物語るには一番のモード。サラウンド感は、360度に透明感ある音が空間に漂ってるような非常に心地良い感じがします。空間のあちらこちらに音像がパッと浮かんではフッと消えていく。単純に音がチャンネル間を移動するというようなレベルより1ランク上の立体音場表現。このアンプの最大のセールスポイントだと思われます。

・THXモード

スタンダードモードに比べると、これはTHXの仕様だからしょうがないのですが、高音域の伸びがなくなり、音像もボケて音場の立体感が薄れます。その反面、音場の密度感は増します。ルーカス・フィルム社のダビング・ステージの再現を目的にしているのでいたしかたがない。映画館の音場再現が好きな人には使えるモードかもしれません。サラウンドEXの時はサラウンドバックのスピーカーを2本にする方が、包囲感、音圧とも増します。しかし、どうも5.1chソース再生では、のリア2ch成分の振り分け方に問題があるのか、音の移動感に違和感を感じる時が多いです。5.1chで、リアL/Rが同音量で鳴り頭の後ろでステレオイメージを結ぶような音源の時はサラウンドバックだけが鳴り、サイドに置いたサラウンドスピーカーはダンマリ。逆に片方のリアが鳴るような音源の時はサラウンドスピーカーが鳴ります。従って、前方から斜め後ろに抜けて欲しい弾道音などのSE音などは、前方からサイドに抜けていくことになるため違和感を感じることになります。

・ADVANCEDシアターモード

ミュージカル・ドラマ・アクション・5/7−Dシアターの4種類が用意されている。それぞれ、エフェクト効果を1〜9段階に設定できるが非常にラフなものです。一番使えるのは、5/7−Dシアターです。ドルビーサラウンドのソースをドルデジっぽく再生してくれます。

・DSPモード

2chステレオ音源を楽しむために7つのDSPモードが用意されてます。ホール1・ホール2・JAZZ・ダンス・シアター1・シアター2・5/7CHステレオ私はたまに遊んでみたい気分の時のみ使用。

・ステレオモード

フロントスピーカーからのみの再生時に、STEREOとDIRECTの2種類がえらべます。STEREOでは、トーンコントロールが可能となり、DIRECTではトーンコントロールやチャネルレベル回路をカットして再生し、原音により忠実な高品位再生モードです。DIRECTを常用しています。

3.音質傾向

国産AVアンプとしては少数派(?)のピュアオーディオを意識した音作りです。映画再生を意識して中低音域を強調したAVアンプが多い中、全帯域に渡ってフラットな傾向の音です。高音域が伸びるので、透明感を感じるのと同時に音像もくっきりと立ちますのと、BGMの再生もソースの録音状態が良いものは非常に心地よく聴けます。セリフの再生もニュアンスが良く感じられ良好。音の分解能も良く、特にアラーム音のような高域の背景音が、空間にばらけ浮かびます。

逆に、映画らしい重厚で安定感のある低音は弱目となってますので、スケール感や迫力を求める向きには不満が感じられるかもしれません。この場合は、低音域に特長があるスピーカーを選択したり、SWを調整したりして補う必要がありそうです。2チャンネルのピュアアンプとしても、国産の10万円クラスのピュアアンプとなら勝負になると思いますが、同社のA−D5aと比較すると若干高音域の伸びが弱く、やはりAVアンプであることを意識した中低域寄りに振った音になってます。

4.その他

ミッドナイトリスニングモードは、ソースに応じて各帯域を強調するモードのようですが、 このモードを設定したことをうっかり忘れてボリュームレベルを上げて再生すると、スピーカーノイズが強調されてS/N感が悪くなるので注意。

ラウドネスモードは当然ですがドンシャリになります。

液晶パネルリモコンは、ボタンのリネームが出きる点が良いです。学習機能は、コードの長いものはレスポンスが極端に悪いです。私の場合は、ソニーのCSチューナーがそれでちょっとイライラさせられます。マクロ機能は5つまで設定できます。

デジタル入力は、同軸×3(内RF×1)、光×3で入力機器は任意に設定できます。