AV機器ユーザーの本音

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『おおふじ様の声』
使用機器、DVDレコーダー、パイオニアDVR-55

いつかはDVDレコーダーを、と思っていましたが、なかなか踏み切れないでいました。パソコンでエンコード・オーサリングする環境は昨年整えたのですが、ドルビーデジタル音声に対応していないことや、手間(時間)が相当かかってしまうことから、実験の域を超えられないでいました。

今回、このDVDレコーダーを購入した理由は数点あります。

1.仕事(個人向けビデオ製作業)で、VHSでの販売・納品から、DVD(-R)での販売・納品に移行したい。 そのためパソコンでのオーサリングを試行しましたが、手間がかかりすぎて実用化が難しいのと、ドルビーデジタル音声にしないと、長尺物では画質が十分でないことなどで、断念していました。 DVR-55は、ドルビーデジタル音声でエンコードでき、もちろんリアルタイムですし、エンコードのビットレートをマニュアル設定できる点で、DVCAMマスターテープから手軽にDVD-Rを製作できそうだと考えました。

2.D-2出力できるので、家のプログレッシブテレビに高画質で出力できるので、DVDや放送番組(特に地上波)をよりよい画質で視聴できる。プログレッシブスキャン回路がビデオ素材にも対応しているので、ビデオ素材のDVDもよりよい画質で視聴できそうだと考えました。

3.DVD-Rのビデオモードでも、静止画(サムネイル)や文字の入ったメニュー画面が作れる。これで、パソコンでのDVDオーサリングに引けをとらないDVDが作れそうだ、と考えました。

[ DVCAMマスターテープからDVD-Rを製作してみた ]

DVビデオデッキのDV端子とDVR-55のDV端子を接続し、DV取り込みボタンを押すと、テレビに取り込み用の画面が映り、DV機器の操作や取り込みの開始、一時停止、停止などがリモコンで操作できます。 取り込みの開始は、DVデッキとシンクロするので楽です。画面にエンコードビットレートや録画可能な残り時間が表示され、便利です。一時停止し、DVデッキを早送りして不要な部分を飛ばし、また録画再開できます。コマーシャルカットなどに有効ですね。その場合はつなぎ録画した部分も、1ファイル(1タイトル)にまとまります。 停止ボタンで1ファイルになります。停止は15フレームくらい行き過ぎるので、ボタンを押すタイミングに慣れる必要があります。

DVデッキからの取り込みは、アナログで接続するより、画質がよいです。アナログ接続では、やや輪郭が甘くなります。以前、雑誌でDV端子からの取り込みは画質が良くない、と読んだ記憶がありますが、この機種ではDV接続の方が高画質だと思います。 素材の時間に合わせてエンコードのレートをマニュアルで設定できるのが、非常にいいですね。例えば、1時間30分の素材なら、MN26で平均ビットレートが6.92Mbpsです。設定画面に録画可能時間とビットレートが表示されるので、わかりやすいです。

幼稚園の発表会ビデオをこのレートでDVD-Rに録画してみました。VBR録画なので、平均が6.92Mbpsでも、複雑な絵柄では9Mbpsくらいまでビットレートが上がっています。動画の上にロールテロップが流れるシーンや、オーパーラップといったシーンでも破綻が目立ちませんでした。 昨年、同業の方に同じような素材をDVR-2000でDVD化してもらったのですが、その映像より相当画質が向上しています。DVR-2000では、DVD-RをCBRでしか焼けませんし、マニュアルでビットレート設定もできませんでした。それで、SPモード(CBR5.1Mbps)になっていました。やはり、この差は大きいですね。 まちがいなくVHSビデオより高画質です。特に色にじみや色のはみだしがないので、輪郭がくっきりして解像感が別物です。近くで見ると、圧縮ノイズがみえますが、遠目ではノイズ感もVHSよりずっと上です。S-VHS標準速度での画質とよい勝負ではないかと感じました。

パソコンのDV端子とも接続できるというので、カノープスのDV-Storm、DVRaporの出力を録画してみました。DVデッキと同じ画質で録画できます。ただ、DV取り込み機能は働きません。「DV機器が接続されていません」というメッセージが出て、操作できません。普通のアナログからの録画と同じ操作になりますので、シンクロ録画開始はできません。

[ 使用したメディア ]

ビデオ録画用でないと使えないので、ビデオ録画用DVD-Rを買いました。マクセルのプリンタブルで、5枚セットで2700円ほど。私はラベルを印刷したいので、CD-Rも含めプリンタブルのメディアを常用しています。 1枚500円以上では、気楽には使えないなあ、と思ったのですが、ネットの情報で、輸入物の安いDVD-Rも使えそうだという情報を見て、試しました。購入したのは、「SuperX」のプリンタブルDVD-R。これは、「データ・ビデオ共用」なんですね。それなのに10枚組のパルク(ケースなし)が1479円(ソフマップ)。1枚税込み150円程度です。50枚組はもっと単価が安かったし、プリンタブルでなければ、1枚99円だったので、半信半疑で購入しました。 録画できました。ファイナライズしたら、DVDプレヤーでも再生できました。DVDレコーダーで使えるDVD-Rメディアがもうこんな価格に落ちているなんて、知りませんでした。仕事用は別として、これから「SuperX」を使おうと思います。

[ DVD-Rでの編集とファイナライズ ]

ビデオモードですし、書き換え不能メディアですから、あまり編集はできません。でも、一番欲しかったメニュー画面(静止画入り)が作れます。各タイトルには、タイトル名を入れられます。携帯電話の入力のような方法で、パソコンでの入力より面倒ですが、文字数が少ないのでなんとかなります。DVD自体のタイトルも入れられます。メニュー画面は単純ですが、すっきりしていて見やすいです。 あとは、録画したタイトル(1ファイル)を消去できます。もちろん、データ自体は消えませんが、メニュー画面から消え、再生もされません。

うれしかったのは、メニュー画面の静止画(サムネイル)を後から自由に設定できることです。録画時には、冒頭の画面とか3分後の画面とか、設定した時間の静止画になりますが、そのタイトルをあとで再生しながらリモコンのナビマークボタンを押すと、その瞬間の映像がタイトルの静止画に設定できます。 これは便利です。 ついでですが、DVD-Rを再生すると、DV端子からDVデッキに映像が出力され、DVデッキのモニターでDVDレコーダーの再生画像を見ることができます。DVR55内部で、MPEG2→DVの変換をしています。元のDV画質と、エンコードされたMPEG2画像の画質を比べて見ることができ、おもしろいですね。なお、市販DVDソフトや放送番組はDV出力されません。

ファイナライズは、データをぎりぎり入れた場合、3分くらいで完了します。ファイナライズ後のDVD-RをDVDプレヤーに入れると、普通に再生できました。再生ボタンを押すと、メニューは表示されず、VHSビデオと同じように録画した順に最後まで再生します。メニューボタンを押すと、メニュー画面が表示され、好きなタイトルから再生されます。 チャプターは、DVD-Rでは自由に打てません。10分とか15分ずつを指定して、自動的にチャプターに分けられます。これをあとから自由に打てたら有り難いのですが、贅沢ですね。 こうして作成したDVD-Rをマスターにして、DVDコピーマシン(業務用)でコピーすれば、販売用として十分なDVD-Rを短時間に製作できそうです。DVDプレスでは、500枚以上でないと、とても採算がとれませんので、私のような個人向け製作業者は、DVD-Rを自前でコピーする方法がよいようですね。この程度の手間、時間でやれるのなら、VHSビデオとDVD-Rを同時販売し、お客様に選んでいただくことができます。

[ HDDハイブリッド機を選ばなかったのは ]

一番の理由は価格です。DVR-55が約7万円、HDD搭載のDVR-77Hが約12万円(アバック通販価格)でした。私の用途では、5万円出してHDD機にする積極的な理由がなかったのです。 主な使用目的が、編集済みマスターテープからDVD-Rを焼くことなので、編集が不要でした。また、放送番組を直接DVDレコーダーで録画することもありません。私の場合、地上波はあまり録画しないし、趣味としてはBSアナログの音楽番組を高音質で録画することなので、DV録画が必要なのです。BSデジタル放送番組で残したい物は、D-VHSで録画しています。将来ブルーレイディスクのHDモードにコピーできるようになるのを楽しみに待っています。

放送番組をDVDレコーダーで直接録画したいなら、HDDは非常に役立ちそうですね。DVD-Rの容量を気にせず、最高画質で長時間、予約録画できますし、あとで、必要部分だけ編集してDVD-Rに高速コピーできます。 DVD-Rに再エンコードせず高画質でコピーするためには、HDDにビデオモードで記録する必要があります。パイオニアのハイブリッドレコーダーの場合、HDDにVRモードでの記録はできず、ビデオモードのみになっているそうです。DVD-Rに最終的に保存することを考えると、それが適切だと思います。しかし、その分、編集精度はよくないらしいです。ちなみに東芝のDVDハイブリッドレコーダーは、HDDへの記録をビデオモード、VRモードを選択できるそうです。松下と三菱は、VRモードでのみHDDに記録するので、DVD-Rにダビング保存する際は、必ず再エンコードされ、画質が劣化するそうですね。 メーカーによって、DVD-Rを基本に設計するか、DVD-RAMやDVD-RWを基本に設計するか、考え方が分かれているようです。私は、DVDは、一般のDVDプレヤーで自由に再生できてこそ意味がある、と思います。4.7GBという容量の制約から画質的には 妥協したメディアですので、どこでも再生できる互換性の高いメディアであることに価値があるのではないでしょうか。DVDって、「デジタル時代のVHS」として生き残るのではないか、と思っています。

(追記) 友人とDVDレコーダーで作成したDVD-Rを交換しました。私は、東芝のRD-X1で作成した物をもらったのですが、再生して驚きました。私のDVR-55より確実に優れている点があったのです。 一つは、HDDに記録した映像に任意にチャプターを割り振れることです。音楽物の録画では、曲ごとにチャプターを振りたいのですが、うちの機種はDVD-Rに任意のチャプターを振ることができません。頭出しが非常に便利ですね。RD-X1ではメニュー画面が作れませんが、その後の機種なら静止画付きメニュー画面が作れるそうなので、HDD付き機種のメリットを痛感しました。

二つめは、BSデジタル放送のダウンコンバート映像を録画した場合、きちんとワイド識別信号が記録されることです。DVR-55で試したところ、DVD-RWのVRモード録画ではワイド信号が記録され、再生時に自動的にスクイーズ映像がプログレッシブテレビにワイド映像として映ります。でも、DVD-Rではスクイーズの4:3のまま映り、テレビを設定しなおすしかありません。RD-X1で作成したDVD-Rは、スクイーズ映像が自動的にワイドで映りました。

三つ目は、HDDに録画する際、音声モードと映像の圧縮率(ビットレート)を独立して設定できる点です。DVR-55では、リニアPCM音声で録画するには最高画質のモード(1時間録画)を選ぶしかありません。RD-X1では、映像のビットレートを低く設定し、1時間を超える番組をリニアPCM音声付きで録画できるのですね。 これらの機能はとても魅力的です。私も、東芝のDVDレコーダーを追加購入したくなりました(汗)。 パイオニアのHDD付き機種(DVR-77Hなど)にもこのような機能が付いているかどうかは、わかりません。

[ 画質について ]

うちには、DVDプレヤーが1台あるだけなので、画質比較などはできませんが、感想をまとめたいとおもいます。

うちのテレビは、28型のプログレッシブ(三菱 28W-HR1)ですが、I-P変換がよくありません。内蔵の地上波チューナーの画質はよくないし、外部チューナー(三菱HV-V920MNなど)の絵も、輪郭がボケ気味です。(店頭展示品を安く買ったのがいけなかったか(--;) DVR-55にはD2出力があるので、テレビとDコードで接続しました。市販のDVD映画ソフトは、2-3プルダウン方式で、ビデオ素材のDVDは「動き適応型補完プログレッシブスキャン回路」とかで、それぞれプログレッシブ化されます。 画質は、これまでのDVDプレヤー(非プログレッシブ)よりいいです。輪郭がすっきりして、ノイズ感が少なくなりました。内蔵チューナーも、HV-V920に比べると輪郭が甘い感じですが、なめらかな画質で、いいです。 DVR-55のインターレース出力(S端子)もテレビに接続していますので切り換えて視聴しました。D2出力の方が輪郭がくっきりし、ノイズ感も減少しています。ただ、うちのテレビの場合だけかもしれませんが、D2出力はコントラストが低下し、やや白っぽくのっぺりした絵になります。(ガンマがねている感じ)。これはテレビ側で画質調整して見やすくしました。

[ 音質について ]

アナログBSのBモード音声の番組をDVデッキのアナログ出力からDVR-55に入力して、録画してみました。録画モードを最高画質(FINE)にして、リニアPCM音声で記録しました。DV接続で入力すると記録音声は自動的にドルビーデジタルになってしまいますので、アナログ入力したのです。 この音質は、予想以上によかったです。DVデッキ(DHR1000)デジタル音声出力の音よりD-A,A-D変換が1回多い分、音が丸くなりますが、比較せずに聴いていれば、十分満足できる音質でした。 私の用途は、ドルビーデジタル音声で録画することで、映像の画質(ビットレート)を稼ぐことだったのですが、趣味としてアナログBSの音楽番組をリニアPCM音声のDVDにするのも、十分実用になると感じました。デジタルBSの音楽番組も、同じようにリニアPCM音声で録画してみましたが、これはあまり良くありませんでした。やはり、元の音質がよくないと、リニアPCM音声記録のメリットは生かせないようです。 残念なのは、1時間録画のモードでしか、リニアPCM音声で記録できない点です。前述の東芝DVDレコーダーでは、その点がクリアされているので、すばらしいと思います。

[ まとめ ]

DVR-55は、私の使用目的によく適合していました。DVD-Rを焼くのに、VBRで、素材の時間に合わせてマニュアルでビットレートを設定して録画できることがなによりです。 D2出力の画質もよく、うちのプログレッシブテレビとの相性がよかったようです。 DVD-RWをつかったVRモードでの編集機能はものたりないようですが、私は使わないので問題ありません。DVDレコーダーはHDDの有無も含めて各社のコンセプトが違っているので、自分に合ったメーカーを選択することが重要だと思います。 メディアがとても安いので、子どもを撮影したVHSや8ミリのビデオをコピーしておこうか、などとも考えています。安いメディアでは、長期保存ができないかもしれませんが・・・