5.1chと2chを一つのシステムで両立させると言うのは、物凄く難しく、2chの音の良さを追い求めると何十万円とか、お金がかかってしまいます。
そこで、普通は、5.1chは割り切ってそれ専用と考え、2chは別にコンパクトな十万円台で安くて数百万円のシステムに差程負けない非常にC/Pの良い組み合わせを選ぶケースが多い様です。
ただ、そうすると、ただでさえ5.1chでスピーカだらけなのが、さらに2ch増えると思うと、、、
そこで、提案なのが、フロント2chを専用のパワーアンプに繋いで両立を図るというやり方です。
もしもDSP第一人者とうたわれるAVアンプでダントツ人気を誇るヤマハのアンプで「AX1, AX2, AX10, AX8, A5」あたりの機種をお使いなら、フロントメイン2CHを好みのパワーアンプに繋いで楽しむ事ができるように設計されています。やり方は簡単です。プリアウト端子(MAIN OUTと書かれています。)と好みのパワーアンプをRLの(例の赤白の)ピンプラグケーブルで繋いでやるだけです。(AX1とAX2の場合は、FRONT端子とMAIN IN端子をピンプラグケーブルで繋いでやります。)
例えば、モニタオーディオと相性の良いピュアオーディオ用で評価の高いものに、ROTELがありますが、実売4万円台で入手可能なプリメインアンプRA932との組み合わせでは、100万円のアキュフェーズのアンプと組み合わせた時よりも、定位のしっかりとして、魅力的な女性ヴォーカルが目の前に立ち上がって来ました。他に5万円前後でお勧めのアンプを挙げるとすると、入手のしやすさとサポート体制の安心度から言うと、TRIODEのVP-Mini88 MarkII(残念ながら、これも75,000から95,000に値上がりましたが、今なら店頭在庫がまだ従来通りの6万円程度で買える様です。)もお勧めです。
構成としては、
A)DVDプレーヤ - AVアンプ - 2ch専用アンプ - スピーカ
B)DVDプレーヤ - ルミナス - 2ch専用アンプ - スピーカ
この時に、DVDプレーヤの同軸デジタル端子と光端子のどちらをA)B)どちらで使うかと言う選択があると思いますが、音質重視の同軸の方をB)で使われては如何でしょうか?(まあ、気持ち変わるかなと言う感じかも。実際にはつなぎ比べてみて決める事になると思いますが。)
普段5.1chを楽しむ時は、DVDプレーヤの音声出力設定を「ビットストリーム」とかにして、ソフトに応じて、音声方式をドルビーデジタルにしたり、DTSにしたり切り替える事になると思いますが、
2chソースをルミナス経由で聴く時は、デジタル2ch出力に切り替える事になります。
これが面倒であれば、CDトランスポートとして、適当なデジタル出力を持つ(いまはこれが無い物を探す方が難しいと思いますが)プレーヤを組み合わせるとか。個人的には、海外で非常に高く評価されているCEC等お勧めとは思いますが。こだわるなら、メーカーチューンを施した電源のしっかりした逸品館さんのCEC改シリーズも食指がそそられます。
そうすれば、後は、2chに繋いだ専用のプリメインアンプ(AV用では無くピュアオーディオ用のRotelとかTube Ampとか好みのもの)で、5.1chと2chは入力をAVアンプ経由とルミナス経由で切り替えるだけで、
フロント2chのベビーブーマーが5.1chではより力強く、2chでは音場感豊かに、リアルな定位で聞かせてくれると思います。
特にKT88真空管3結のシングルアンプVP-Mini88 MarkIIの12W出力ではベビーブーマーでは持て余すぐらい力強い低音と共に、豊かな中域の膨らみを聞かせてくれるのでは無いかと。ルミナスのバッファのMos-Fetと真空管バッファの切り替えは、好みですが、私は真空管バッファの方が、あの低域の盛り上がり感が好きですね。
この組み合わせにしておくと、例えば、将来的にフロント2chをピュアオーディオ専用にグレードアップしたスピーカを組み合わせたいと言った時、パワー喰いで鳴らすのが難しいと言われるDynaudioのContourとかでも軽々となってくれたり、アンプを非常に選び、音の善し悪しが端的に出る恐いスピーカ(Monitor AudioのGold Reference 20とか)でも「ああ、もうこれ以上はいらないな」と思うくらいみずみずしく、素晴らしい音楽の世界が堪能出来ます。
「SACDにする必要ないんじゃ無い?これだけの音がCDRから聴けるのなら?」という感想を持った方もいらっしゃいました。「なんで、このCD、SACDじゃないのにこんなに柔らかな良い音がするんですか?」とおっしゃる方もいましたが、
P0を改造して、チューンアップしたトランスポートでプレイしたCDの音は、50万円のSACDプレーヤの音を完全に凌駕していると豪語する(500万円のノーチラスに600万円のアンプ8台繋げている人の言う事なので、雲の上の話で参考になりませんが、)人もいるように、
今からシステムを組むのであれば、アナログレコードで何百万もかければ手に入る音が、数十万円でCDならものすごいハイエンドの世界が手に入るし、
1)「DAC」ルミナス(18万円)
2)「アンプ」数万円の管球式アンプ
3)ペアで10万円以下のスピーカ(Monitor AudioのMA2、DynaudioのAudience 52等)
この組み合わせで、後は好みのLDでもDVDでもちょっとやそっとでは負けないうっとりする音の世界が手に入るというのが、個人的な感想です。アンプとスピーカの組み合わせで15万円程度というのは、よく雑誌等で、「Hi-Fiオーディオの入門者向け」「取りあえずの初心者用の入り口として最適」などの文字が踊っていますが、本気で取り組める5年10年、いやそれ以上付き合える良い物が十分手に入る「大枚15万円」だと思います。
大抵の雑誌の特集の「お勧めオーディオ入門セット」とかだと、20万円で、7万円ぐらいのスピーカ+アンプ+CDプレーヤを組み合わせてお茶を濁していますが、CDプレーヤで20万円のを買おうが、2万円の物を買おうが、新しい規格のデジタルメディアが出てくれば、それに対応した物に買い替えるのにまた同じような高いグレードの物を買い揃えるのは大変ですし、それに50万円出せば音が良いCDプレーヤだとは限らない訳ですから、長い目で見れば、DACにきちんとした物を用意して、あとはトランスポートと割り切った方がC/Pは高いかもしれません。とくにトランスポート部分は回転部分ですから、オーディオ機器の中で、一番壊れやすく、買い換えが必要になってくる部分ですから。(昔、テレビデオというのがはやりましたが、あれもビデオデッキの部分から先に壊れて、テレビがまだ使えるのに、ダメになるというパターンもありましたね。)
例えば、将来的にフロント2chメインスピーカにトールボーイを置きたい、と言った場合、15万円ぐらいの予算で手ごろなトールボーイをと探すと、結構音のまとまりの良い物が少ない事に気付くと思います。日本マランツが後ろに付いているせいもあって、英国最大のスピーカメーカのB&Wの人気が雑誌で良く取り上げられ、デザインも目に付くと言う事で高まっていますが、あれもグレードでピンきりで、特に鳴らすのが難しい扱いが大変な物もあったりします。安いトールボーイでは、バッフル面が広がる事による低音のまとめ方の難しさもあって、「低音が出ない」「低音がボンボン不自然に聞こえる」「低音がブーミーで気持ち悪い」とか、B&Wに限らず、どのメーカーのトールボーイもまず真っ先に低音に気になる所が出てくるというケースが多い様です。
折角デザインも音も気に入っているのに、低音が気になって何とかしたいという悩みを抱えている方が、さまざまなセッティング、ケーブル、工夫をした挙げ句、諦めてしまっている時、ルミナスをCDとアンプの間に繋ぐ事で、問題が解決してしまう場合もあります。使い方によっては、非常に魅力的なラインバッファだなとも思いました。(あくまでも一例ですが。)
最近、あちこちの試聴会で、何かとルミナスを目にする機会も増えて来ているのですが、もし見かけたら、是非その効果を聴いてみるのも損はないと思います。
最後に。いかな20万円のAVアンプといえども、2chの音楽再生に限って言えば、とても数万円のRotelやTube Ampにかなう物ではありません。ぜひ2chの音楽再生は、2chのまま、専用アンプを経由して再生してあげて下さい。(ちなみに、かの「3次元立体音場再生スピーカ」NDR-167をつかうと、むかーしのジャズのレコードとかCDとかが、サラウンド顔負けに目の前に奥行きと高さの凄くあるステージが広がり、物凄くピュアな音像定位で3D映画でも見ているみたいに聴こえて来ます。
実際のステージを人間が聴いて感じるのと同じ音響効果を、2chのマイク収録の2ch音源しか入っていないソースから、そのまま2chのスピーカから「マイクで収録したのと逆のプロセスで」戻してあげれば、ステージにいるがままの「音の世界」が作れると信じて20年間研究開発された物だそうですが、これを聴くと、「2chの音楽CDもこれなら5.1ch目じゃないぞ」と感じたりします。めちゃくちゃ透明で澄んでいながら、すごくリアルにクリアに感じます。このスピーカで必要なアンプは、普通の2ch専用の数万円のアンプと、300円/m程度の安いスピーカケーブルで十分です。レコードから落としたようなCDでも十分サラウンドになります。アンプの出力段迄は、NFBやCRを使って、歪み(特に高調波歪み)は取っていますが、スピーカーで音を出す段階で、歪みが取り切れていないのが現状ですが、それをうまく処理してやる事で、物凄く音の鮮明度が高まると言う事で、まあ、理論はどうでも良くて、聴けば納得します。出てくる音に語らせれば良い話ですから。
「どうしても部屋が狭くて、スピーカを2個しか置けない。でも2chの音楽も映画も臨場感豊かに楽しみたいよー」という方には、かなりお勧めかも。あれを聴くと、凡百のピュアオーディオスピーカの音が、濁って聴こえて来ます。(ここまで言い切っていいのか?でも実際そう聴こえてしまうものなー。すみません。でも、ペアで10万円を切る価格と言うのは、まさにバーゲンプライスだと思う。) |
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