一般に故障の場合は、修理票に書かれた不具合箇所しか見ません。最低限必要な部品交換で、そこが直ったら、後は普通に使えるかどうか確認して終わりです。
オーバーホールの場合、一通り、消耗する場所を確認し、機器内部の目視点検や清掃を行います。
この場合、必要であれば壊れていないところも分解して点検清掃しますし、消耗していなくても消耗部品を交換します。
壊れていなくても、既知の不具合部品があった場合、それも交換してしまうことがあります。
また、必要であればシャーシやメイン基板などの大物部品をごっそりと交換する場合もあります。
そして、終了後、一通り主要チェックポイントの電圧を見たり波形を確認したり、入出力も併せて計器で正常範囲かどうか確認します。
半日くらいテストランさせて、様子を見たりもします。
・・・ということをするので、オーバーホールはとても工数がかかります。工数=お金なので、予算も必要です。
たいていの場合、本工場送りになるので、時間もかかります。
海外製のものは、海を渡って里帰りすることもあります。そうなると航空運賃や船便代がかかりますし、1年かかった、ということも珍しくないそうです。
また、壊れていないところも分解したりするので、たまに、オーバーホールしてかえって調子が悪くなった、オーバーホールしたために潜在的な故障箇所が顕在化して、よく壊れるようになってしまった、ということもあります。
ですから、程度良好、絶好調のものをオーバーホール依頼しても、断られることもあります。
オーバーホールは、対象機種がそれなりに高価か、もしくは希少で、現行品に代換できるものがない特徴や機能を持つ機種か、特別に思い入れのあるもので、これからまだ数年使い続ける必要があって、かつメーカーがそれに応じてくれる場合に考える手段でしょうね。 |
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