AV機器ユーザーの本音 |
使用機器、ソニー DVカムコーダー VX2000 4月下旬に予約していた量販店の先行入荷分が運良く回ってきました。そこ で、手持ちのDVカムコーダー4機種の画質比較DVビデオを作ってみました。 まだわずかな期間ですが、使用して感じたことを書いてみます。 =機能= 先代のVX1000の機能を踏襲している部分が多いです。ただ、今回は業務用の姉 妹機であるPD150をほぼ同時に発売することもあってか、家庭用としての機能 が充実しています。 ・操作する度にかわいいいろんなチャイム音を鳴らすことができる。 ・撮影時にいろいろなデジタルエフェクトをかけられる。たとえば、メモリー スティックに記録されている縁取りのかわいい絵を撮影時にクロマキー合成で きる。ノンリニア編集で同じことをやるとしても、けっこう面倒なので、ワン タッチでできるこういう機能は、すごく楽しいです。業務でこういう機能を使 う人はまずいないと思いますが。 ・メモリースティックに静止画を記録する時、「カシャッ」とまるで一眼レフ カメラを使っているような音がする。 遊び心が感じられて、「かわいいやつ」と思ってしまいます。 きちんと撮影する人のための機能としては、 ・NDフィルタが2段階になった。これは画質にもろに効いています。青天時に 同条件でオート撮影すると、VX1000、キャノンXV1は、だいたい絞りが9.6〜11 あたりになります。2000は、フィルタを「2」にするように指示が出て、光量 が1/32になるので、絞りが5.6前後で動作します。そのため、絞りすぎた時に 起きる「小絞りボケ」の影響を逃れて、映像にキレが出ているようです。XV1 のレンズはキレがよいのですが、青天時のオート撮影では本領を発揮できない ようです。絞り優先オートにすると、シャッター速度が上がりすぎて、動きの ぎこちない映像になってしまいますし、外付けでNDフィルタを付けて、光量を 落とすしかありません。 ・プッシュダイヤルがついて、操作が素早くできるようになった。 ・メニューボタンが外部についた。1000では後ろのふたをあけて、中の小さい ボタンを押していたので、大変やりづらかったです。 ・ゼブラパターンの切り換えボタンが単独で付いた。これも、大きいです。 1000ではメニューでの切り替えだったので、面倒くさかったですが、2000では 気楽に入れたり切ったりできます。70%のゼブラも付きましたが、私はほとん ど100%しか使いません。 ・液晶パネルが付いた。このパネルは使い勝手がいいです。画素が多いので、 画面が緻密で、十分ピント合わせができます。XV1のパネルはピント合わせ には使えません。また、色もきれいです。何より、100%のゼブラを表示させ ていても、ピントを合わせられるのがうれしいです。1000のファインダーにゼ ブラを表示させていると、ほとんどピント合わせができませんでした。 ・ズームリングが付いた。動きはやや緩慢ですが、使いやすいです。またズー ム最大速度も、1000よりだいぶ速くなりました。ただ、慣れるまでは、ズーム リングとフォーカスリングを一緒にさわってしまいがちです。 ・大容量バッテリー使用。これは本当に安心です。一日中使っていても、バッ テリー切れをぜんぜん心配しなくて良いというのは、楽です。 ・エンドサーチが付いた。撮影時の頭出しに使えます。ただ、私は同じテープ の使い回しが多いので役立ちません。バージンテープでないと意味がありませ ん。1000のエディットサーチには早送り、巻き戻しが付いていたので、その方 が便利です。2000のは1倍速のみです。 ・LPモード。私は固定で2時間イベントをベタ撮りすることがあるので、LP モード大歓迎です。ただ、互換性は問題が多いです。2000ではまだ試していま せんが、XV1のLPモードで撮影したテープは、自己再生ができないことがあり ました。また、ソニーのDVデッキでも、LP対応をうたっているWV-DR5では再生 できず、WV-D700とDHR1000では再生できました。私はWV-DRシリーズのDVメカ に疑問を持っています。ランク端子で外部のコントローラーを使っても数フ レームふらふらと動いて安定しませんし。とても業務用メカを流用しているな んて、信じられません。以前のDシリーズは間違いなくDSR20、DSR30と同じメ カです。 話がずれましたが(汗)、LPモードは保存用に使わないほうがいいと思います。 1000、2000とも盛り込まれていない機能ですが、私が欲しいのは、オート撮影 時にも絞りの数値を表示できる機能です。最近の業務用カメラには必ず付いて います。マニュアルアイリスにボタンで切り換えれば表示されますが、オート で撮影している時にも、絞りがどのあたりなのかは知りたいものです。なお、 XV1では、オート撮影時にワンプッシュボタンでマニュアルに切り換えても、 絞りの数値は表示されません。これは使いづらいです。 =操作性= バッテリーが大きくなりましたが、持ってみた感じは1000とあまり変わりませ ん。重心のバランスがよく、使いやすいです。ただ、XV1の軽さとは比較にな りません。 ズームレバーはかなり押し込まないと動作を始めません。「遊び」がやや大き い感じがしました。 機能のところで書いたことは、だいたい操作性の向上につながっていますの で、総じて1000よりも操作性がいいと言えます。一番うれしかったのは液晶パ ネルですね。ローアングルで撮る時、本当に楽です。パネルを左手でホールド すると、手ブレも少なくなり、安定させやすいです。(あまりやるとこわれる かもしれませんが・・) 手ブレ補正ですが、効きが1000より良くなったかどうかは、まだわかりませ ん。ただ、手ブレ補正をかけているのに気づかないくらい、パンした時の画面 の動きが自然です。XV1では、パンした時、タイムラグがあり、一瞬遅れて画 面が動き始めます。こちらの意図と画面の動きがずれる感じがします。これは 故障かと思ってキャノンの技術の方に問い合わせましたが、性能だそうです。 2000の操作性ですごく困るのが、電源スイッチです。軽く動きすぎます。オン する時は緑のボタンを押さないと動かないので安心ですが、オフにするのは軽 く動いてしまいます。実際、私は撮影中に一度、誤って電源を切ってしまいま した。1000の電源はこんなことがありません。XV1もこの欠点は同じで、本番 の撮影中に電源を切ってしまい、血の気が引いた経験が数回あるのです。電源 を切るときも、緑のボタンを押さないとスイッチが動かないようにしてもらい たいです。 =画質= 2000で家の回りの花を撮影して、その美しさにびっくりしました。業務用カム コーダーのDSR300とほとんど違わないように見えたのです。それで、画質比較 ビデオを作ってみることにしました。 同じシーンを4機種で撮影して、10秒程度ずつ順次再生するように編集してみ ました。 画質については、モニターするテレビや、部屋の明るさ、個人の画質の好みな どの条件で違ってくるように思います。また、ホワイトバランスのとりかた で、同じカメラでも絵がぜんぜん違ってきます。今回比較した4機種はそう いった条件で画質の優劣が逆転しかねないくらいレベルが似通っていると感じ ました。 「ビデオサロン5月号」に載っていた画質比較の記事も参考にしました。自分 で撮影してみて、記事になるほど、と思うところが多かったです。しかし、結 果が一致しない部分もありました。以下、あくまで個人的な感想ですが、いく つか書きます。 なお、モニターはソニーPVM14M4Jで、画質調整はすべてニュートラル、部屋は 完全に暗くしました。また、ビクターの10年前の普及型25インチテレビで、部 屋を明るくして見てみました。 ・総合的な印象として、1000は5年前の機種として大健闘です。解像感ではXV1 よりよく、2000より少し劣る感じです。色の再現がややくすみがちです。XV1 は、色の再現がいいです。300と似た傾向で、編集で混ぜて映像を使うには、 一番いいコンビです。解像感はやや劣ります。レンズの切れがいいだけに、業 務用モニターを至近距離で見ると、ややノイズっぽく、荒れた感じがありま す。普通のテレビで見ると、色がきれいなだけに、とてもいい感じです。2000 は300に肉薄しています。撮影の条件によっては、優劣が逆転しています。た だ、やはり室内、低照度という条件では、業務用との差が大きくなります。屋 外で、オートで使うには一番よいと感じました。 ・ホワイトバランスが、機種によってちがった傾向になっています。マニュア ル設定(白い紙を移してのワンプッシュ)、オートホワイトとも、XV1は赤っぼ い傾向です。1000と2000はなぜか、青っぽい傾向です。300はマニュアルで設 定すると中間ですが、今回の撮影ではXV1と似た発色になりました。やはり、 いいコンビです。300のオートホワイトはよくありません。ちょっとした光の 状態の変化に敏感に反応して、ふわふわと色が変わります。うまく合った時は きれいですが、それでも色が抜けるというか薄くなってしまい、2000の絵に負 けています。解像感はさすがに優っているのですが、色がきたないと取り返し がつきません。 傾向を書きましたが、家庭用の3機種については、他と比較しなければ気にな るほど色が偏っているわけではなく、十分きれいにオートホワイトで撮影でき ます。個人的には、XV1の色のバランスが一番好きです。もちろん、正しくホ ワイトバランスをとれば、300の色が一番だと思います。でも、はっきり違う と言えるほどの差は、屋外では出ないように思います。 ・解像感は、300が一番いいです。花をアップで撮ったときの立体感が他とは 違います。これは、CCDとレンズの差でしょうが、CCDが1/2と一番大きいの と、フィルタによって適正な絞りで撮影できるため、「小絞りボケ」を避けら れ、また被写界深度が浅くなるため、より輪郭がはっきりすることもあると思 います。レンズのキレだけの問題ではないと思われます。ついで、2000、 1000、の順によく、XV1はやや劣る感じがしました。でも、室内で20倍レンズ をテレ端にして撮った絵には十分なキレがあります。XV1はワイド側で広い風 景などを撮った時にぼけた感じになるところが残念です。もしかすると、画素 ずらしの方法で解像度を上げると起きる問題なのかもしれません。 ・逆光でのスミアの出方は家庭用では目立った差がありませんでした。どれも スミアが出ていました。2000が特に優れているようにも見えませんでした。 300だけは全く違います。やはり、業務用は悪条件に強いですね。 ・明暗の差が大きい、直射日光が当たった屋外での絵は、家庭用と業務用で暗 部の描写に差が出ました。これは普通のテレビで見ても、はっきりわかりま す。黒くつぶれずにきちんと写っているのです。どうも、オートアイリスで撮 影すると、300の方が家庭用カメラより、露出オーバー気味になるようです。 300は多少の露出オーバーでは白飛びしたりしませんから、安心して(?)、明る めに設定できるのでしょう。家庭用はその辺は絵が破綻しないようにオートが 設定されているようです。特に、XV1が露出をアンダー気味に設定してあるよ うです。それで、同じ条件でオート撮影すると、XV1の絵が暗めになってしま うのでしょう。今回はテストできませんでしたが、それぞれマニュアルで設定 して、最良の露出で撮影すれば、かなり絵が違ってきただろうと思います。た だ、家庭用カメラはダイナミックレンジが小さいので、露出をオーバーに設定 すると、明るい部分が飛んでしまいがちですので、設定が難しそうです。 ・室内の低照度での撮影では、2000の色がくすんでしまいました。1000と似た 傾向の色です。ホールでの撮影でどうなるか、心配です。XV1は、この条件で も、300と似た自然な色で撮れていました。XV1は、色に関しては素晴らしいと 感じました。 ・夜景では、1000の夜景モードがきれいでした。絞りは開放で、ゲインがだい たい6dBで撮れています。XV1には夜景用のオートモードがなく、プログラム オートで撮ると、12db(XV1のゲインの最大)になってしまいます。露出オー バーで光がにじんでしまうのです。ピントがぼけた感じになるのは、このせい ではないかと思われます。マニュアルでゲインを3dbあたりにすると、かなり よくなりました。2000には「サンセット&ムーン」というモードがあります が、これはよくありませんでした。 2000は感度が高いカメラなのに、12dbに なってしまいます。もちろんひどい露出オーバーです。故障でないとしたら、 この設定は直してもらいたいところです。マニュアルでゲインを下げていく と、300と同じような絵が撮れました。300はオートにしてもゲインは上がりま せん。絞り開放でゲイン0dbでも、明るめでした。試しに9dbにゲインを上げて みたら、露出オーバーでにじんでしまいました。ただ、モノクロファインダー で見ていると、0dbでは暗すぎるように見えたのです。300のファインダーで夜 景を正しく撮るのは難しいです。2000のカラー液晶パネルは素晴らしかったで す。 2000は、家庭用としては大きく重いけれど、れっきとした家庭用カメラで、愛着のもてる機種だと思います。性能も大きさと価格を考えるとすばらしいです。業務に使うには、業務用の300に代わることはできません。業務用に必要な機能が足りませんし、悪条件での画質に差が見られるからです。しかし、機動性は最高です。屋外で、うごきの多い被写体を追いかけて撮ったり、ローアングル撮影やテーブルに乗っけて撮るなど、機敏に撮りたい場合は、2000の方がぜったいいい絵が撮れると思います。 光の状況が刻々変わるような時の撮影も、オートホワイトできれいに撮れる2000がいいです。最後に、16対9の画面ですが、これは、2000とXV1で大きく違います。XV1は、ピントが甘い、ぼけた絵になってしまいます。ファインダーやパネルも、XV1はワイド画面にならず、見づらいです。16対9を重視するなら、2000が絶対にいいですね。 |