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ビクターHR−W5の録画再生能力は家庭用としては高次元の性能を発揮するVCRですが、マスターデッキとしては、どうなのだろう興味深いところですね、そこでW−VHSのSDモードを送り出しとし、それをS−VHSにダビンして、そのクオリティーを確かめてみました。

W−VHS方式はハイビジョンがそのまま録れるということで話題になりましたが、通常放送のNTSC方式の高画質記録もできます。実は、このSDモードこそが本命じゃないかとまで言われている方も少なくありません。S−VHSの輝度情報量は5MHzと余裕はあるものの色の情報量は同じ映像トラックに629KHzに低域変換して記録するため色情報は0.5MHz以下に制限されます。そのため色むら、色にじみ、色ノイズが発生し映像品位を損なってしまうのです。W−VHSのSDモードは輝度6.5MHz、色1.5MHz以上を実現し低域変換していないアナログコンポーネント記録なので、水平解像度500本、ナチュラルな色再現を実現しています。

前作のHR−W1に比べ、かなり進化しています。SDモードの色差信号から色信号を作るカラーデコーダーの帯域特性を改善したことによって、映像全体に艶っぽさが増してきました。W1では1MHzの帯域に対して500KHz〜1MHzとけっこう控えめに設定をしていましたが、今回W5では1MHz〜1.5MHzまで帯域を広げて、色解像度の強化をはかり、輪郭部分の色のはみ出しを軽減しました。また新たなTBC採用や各種エンファンシス等を強化したことによって、かすかに、かかっていた細かいノイズも拭い去られSNの良い晴れ渡った清々しい映像に生まれ変わりました。こういったW5のSDモードの実力を生かしたS−VHSへのダビング映像を、見るとこにしました。

W−VHS専用のテープ左の写真がW−VHS専用のテープです。120分タイプが3500円、実勢価格が2900円、180分が定価4700円実勢価格3500円なので、SDモードの場合2時間で6時間の長時間録画が可能な為ランニングコストは、2時間当たり966円で高級S−VHSテープより多少安くなっており実用に充分耐えうると私は感じます。180分タイプなら、9時間の記録が出来ますので、2時間あたりのランニングコストは、777円です。

水平解像度500本
【水平解像度500本】

この画像からは、ちょっと分かりにくいかも知れませんが水平解像度は、ほぼ500本を指している。この情報量の違いがS−VHSには無い素直なフォーカスを生みます。垂直解像度は当然と言えば当然ですがS−VHSもVHSも変わりません。全く同じなんですね。

マルチバースト
【信号が素直】

マルチバーストの再現も優秀で、向かって右端の4.2MHzまで全くフラットです。元の信号と同じわけではないのですが、高域部分を汚す疑信号は、ほとんど見られません。S−VHSでも一応は再現されますが、アモレ等が発生して、ここまで綺麗というか忠実には、ちょっと無理でしょう。TBCも良く効いていて縦線の歪みは確認できません。家庭用のTBCとしては極めて優秀です。

優位性を確認できました
【DVさえ無ければ】

こちらのパターンでも優位性を確認できました。外側の円状に擬信号が無く忠実に記録されていて本当に素直。周りの薄い円も、オリジナルに近く微妙な表情も確認できました。DVさえ無ければ家庭用ナンバー1だったのに

感動しました
【色付きが自然】

何と言ってもSDモードでカラーバーを記録して見たとき本当に感動しました。DVが出るまで、これほど忠実にカラーバーを再現する家庭用ビデオデッキは無いと思いました。1.5MHz付近まで伸ばした色帯域を持つアナログコンポーネント方式は伊達ではない。この素直な色が水平解像度500本とドッキングしてトップクラスの画質を実現しているのでしょう。

【エアチェックは】

ダビング能力に行く前にエアチェック性能の素晴らしさをお伝えします。とくに、家庭用が苦手とされている、ローライト部分や、いろんな光が入り込むコンサート映像でもオリジナル画像の雰囲気を壊すことなく再現されます。暗い場面では多少ノイズが浮くものの絶対的な色の表現力がSーVHSとは異なり、ステージ上でボーカルの化粧したファンデーションの色や乗り方も良く分かりリアルです。色もそうですが余裕のある解像度も相まって自然な録画映像が堪能出来ます。アナログ家庭用ビデオデッキの中で一番綺麗に録れるのがW5と言えるでしょう。

【SVに落としても実用性充分】

まずはBS5チャンネルWOWOWの映像をSDモードで記録し更にS−VHSへダビングしてみました。映像素材は渡辺美里の球場ライブだ。登場したとき赤の衣装でしたがダビングに見られる色の後退、色ずれ、色純度の変化等は比較的に優秀でS−VHSからのダビングとでは、明らかに差が出ました。変に強調されることなく、また、濃くなったり薄くなったりせず自然に劣化した映像が確認できました。DVのような安定したダビングと比べたら少し影が薄くなりますが、何となくノスタルジアな感じがして悪くないと思います。かなり主観が入ってますが・・・

【S/Nは?】

確かにダイレクトにエアチェックした画質と比べると全体の解像感SNは多少後退し全体的に、くすみがちに見えますがVHS同士をダビングしたような質の悪さではなく、自然な劣化という感じです。さすがにデジタルでコピーしたようには行かず、アナログの宿命と言えます。どちらかというと、受けにまわって、S−VHSから立ち上げた方が得意なようです。SDからS−VHSに落とした映像でも解像感、色純度は充分保たれ、これだったら保存しても差し支え無く思いますが、SN、解像度は確実に劣化します。うっすらと細かいノイズは避けられなくアナログダビングの宿命を感じます。でもそれはシビアな方向からの見方ですから、レンタルビデオよりは当然綺麗です。音質に至っては、さすがBモードというだけの説得力あるもので音の勢いはAモードには無いものがあります。

【音質は】

W−VHS専用のメタルテープの恩恵を受けてかオリジナルのPCM方式の雰囲気を余すことなく伝わってきます。SNもまずまずで透明感があり、一度であればアナログ同士のダビングでも不満は感じないと思います。W側は少々レベルオーバーでも違和感はないですがVHS側は幾分かレベルを絞ってやる必要があります。スタジオ等で歌ってる場面ではCDとは、違った音の広がりがあって良いです。W5の音に対する取り組みでしょうか、アナログファイファイとしては、良い方かと思います。バブル当時の勢いは、無くなりましたが、現行の機器としては、トップクラスでしょう。この高画質、高音質を是非AVファンの方々に味わって頂きたく思います。

【SDのダビングポジションは?】

W5には各種映像ポジションがあり、ダビング、スタンダード、ビデオステータス、レンタルの4ポジションがあります。当然ダビングするときはダビングポジションを選ぶのがセオリーでしょうが、希に良くない結果になる場合がありました。確かに色、輪郭表現、残像の少なさ等、素直な画調になりダビングするのに丁度良くなるのですが、SNが落ちるし細かいノイズが一気に増える趣向になりがちです。そのためダビングした側にも少々ノイジーになります。マスターテープの趣向にもよるのですが動きが少ないマスターであれば、これをスタンダードポジションにする事によって、SNはかなり改善されます。輪郭強調も1度のダビングであれば、ほとんど気になりませんS−VHSを送り出したような不自然さも当然少ないです。映像によっては下手にダビングポジションを使うよりスタンダードのほうが高画質ダビングが出来るケースが比較的に多かったことも事実でした。SDモードは元々の画調そのものがナチュラルですから場合によっては、スタンダードポジションの方が良い方向に傾く場合もありました。

【W5のレンタルモードも使える】

どんなビデオデッキにもノイズの多いソフトを見るときに使うレンタルポジションがありますが、ほとんどの場合ノイズ除去効果を得るため大幅にNRを利かせるため高域の情報量まで失い結果的にのノイズも減るが解像度も大幅に落ちるという悪循環がありました。それがW5の場合解像度の低下を最小限に押さえノイズを押さえるという今までには考えられなかった画像処理を実現してます。これでダビングしたテープでも本当にスッキリした映像で楽しめるようになりました。ただし、全く解像度が落ちないわけではありません。TBCが無い時代の従来のデッキに比べれば優秀という意味です。その従来のレンタルポジションに慣れている方は、W5の画質改善効果には驚くと思われます。ただし残像、動きぼけは増えます。

SDモード今まで取り貯めしたS−VHS、Hi8等をW−VHSのSDモードにダビングしますと、オリジナルに近い画質で保存出来ます。おまけにSDモードだと最高9時間の記録が出来ますのでカセットの量も増えないで済みます。S−VHSの2時間テープ4.5本で1本になりますので、テープの保存整理には本当に最高だと思います。アナログダビングのため送り出し用のデッキは、高性能なものを使うと当然、結果は良くなるので出来るだけTBC搭載のデッキで送り出して下さい。

SDモードのドロップアウト
【SDモードのドロップアウト】

SDモードのドロップアウトの量が、もっとも気になる所ですね。そこで、私は、具体的に、どの程度の量が発生するのか実際にタイムを計りながらテストをしました。ドロップアウトのノイズの大きさを、大中小に分けて、出現数を数えてみました。その結果60分あたりの平均は、大が0〜3、中が6、小が7でした。これは比較的に優勝といえるでしょう。画面上にノイズが走ったなあと分かる、中以上の大きさのノイズの出現数は、7〜12分に一度程度でS−VHSより、多少多めかなと思う程度です。状態によっては、20分以上ほとんど出現しない場合もあり、よく心配されているメタルテープによるドロップアウトの量は、わりと少ないと言えます。ただし、初期の古いテープは、ペケです。モデルチェンジ後の新しいモデルに限ります。私も古いタイプのテープを3本持っていますが、はっきり言って、しゃれになりません。ドロップアウトの量は約3倍から、酷いときは7倍に跳ね上がります。とくに大きいノイズが、60分あたり平均10回以上出たりで、よく目立ちます。小さいノイズも数えると1〜3分に一度以上は出ますので、是非テープは、現行モデルを使って下さい。ですが中には、ロットによっては、旧タイプのテープを、そのまま使っている商品があるらしいですから、よく売れている店で購入するのが好ましいでしょう。メーカーは、よく売れているビクターが無難かもしれません。

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