ビデオデッキ、本音のインプレ |
WV-D9000 vs HR-W5の再演です。今回は素材として「カードキャプターさくら」第2期本放送1話(4月6日放送)を用いました。D9000はSONY製DV270を、W5はFUJI製WT-180を使用してW-VHS(SD)で録画しています(再生はダビングモード)。両機種ともに内蔵BSチューナーを使用し、D9000とW5を同時に再生、入力切り替えで比較しました(入力ごとの条件はあらかじめ合わせてあります:速度変調は切っているので輪郭補正はありません) 解像度についてですが、D9000は輪郭の強調感が若干強めに出ています。輪郭強調がほとんどないHR-W5に比べて、やや加工された絵という感じがします。内蔵チューナーの違いが出ています。 W-VHS(SD)の弱点と言われる暗部のS/Nですが、確かにD9000のほうがS/Nは多少良いですが、ずば抜けてDVの方が有利と言える程の差はありません。D9000で録画しても、やっぱり暗部にノイズは乗っています。早い話が五十歩百歩です。 実際、輝度系ではDVとW-VHS(SD)にほとんど差はありません。入力を間違えて押してしまう時もあるくらいです。せいぜい差があるとすれば、ドロップアウトが出た時の挙動でしょうか。W-VHS(SD)が細い線状になり、DV側はブロックノイズになります。ブロックノイズの方が目立つ気もしますけどね…。 画面で一番違うのは色です。D9000側では赤が朱色に、肌色が絵の具の肌色に…と全体にパステル調になり、色が浅めになります。多分本放送の色に近いのはDV側なのだと思いますが、私はW-VHS(SD)の色付けが好みです。W5では赤を紅に、肌色を黄色人種の肌色っぽく見せます。それから、DVでは色の深みが表現出来ていない気がします。 次に音質。D9000でDV録画すると、あらゆる素材で微少なノイズが乗ってしまいます。内部でデジタル系のノイズが混入してしまっている為だと思います。BSの音声もいったんD/A,A/Dを経て記録されるD9000ではダイレクトデジタル記録のDHR-1000に比べて不利なのは仕方ありませんが、この微少ノイズは気になります。静寂が得られないからです。デジタル記録フォーマットだからと安心していると、痛い目にあいます。総じてD9000では音声信号の扱いが粗雑な印象があります。HR-W5では、そのような微少ノイズは乗っていません。静かな部分ではきちんと無音になります。W5のハイファイ音声の音質とD9000のデジタル音声では、デジタル音声対アナログ音声という事を気にするほどの差はありません。 ここからは私個人の主観が入りますが、「(条件次第では)W-VHS(SD)はDVに勝つ」と言っても良いでしょう。DVの半分というコストパフォーマンスの良さは折り紙付き、ドロップアウトさえなければDVに充分肩を並べるだけの性能は持っています。マニアではない一般庶民がDVとW-VHS(SD)の差を見分けるのは困難でしょう。一般庶民はDVやW-VHS(SD)なんて使わないという説もありますが…(^_^;) それと私が以前から繰り返し述べている事ですが、DVといえども完全無欠のフォーマットというわけではありません。先日D9000にGCT-3000を接続した時の不安定な挙動からも、D9000に外部ゴーストリダクションチューナーを接続してD9000内蔵地上波チューナーの弱点を補う使い方はほとんど実用にならない事が判明しています。HR-W5ではそのような不安定な挙動はないので、GCT-3000の実力を充分に発揮させる事が出来ました。不安定な信号の入力で再生画が揺れているDVは、多少の不安定な信号入力でも安定した再生画が得られるW-VHS(SD)には太刀打ち出来ません。アナログ記録を侮ってはいけません。 少なくともWV-D9000は、DVだからとありがたがって使うほどのデッキではないと私は思います。 -------------------------------------------------------- 投稿者:麻矢文明 あいさん、大変興味深く読ませていただきました。 私は主戦力にDVを使用しています、W5の絵を実際に見たことはありませんのであくまで想像ですが、 DVにはないアナログならではの暖かみがあるんでしょうね。 実際にX7と比較しても、色の階調表現の自然さなど、アナログの方が優れている点もあります。 DV録再の場合は、チューナー、あるいは入力ソースの質によってかなり画質が左右されますので、気 を使います。しかし、それをきっちりと管理してやれば、圧倒的な時間軸管理によってアナログには ない無類の安定感を味わうことができますね。 また、劣化のないダビングは我々にとって夢のような環境です、私はまさしくこれこそがDVの魅力そ のものだと思っています。 コストパフォーマンスの問題もありますので、DVとアナログデッキの効率的な棲み分けがこそが究極 のシステムかもしれません。 しかし、DVとこれほど張り合えるほどのW5の画質を一度見てみたいものです。 見たら欲しくなるかもしれないので、お金がない私は見ない方がいいかも(笑) |