ビデオデッキ、本音のインプレ

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投稿者:アッキー

週刊の日経ビジネス誌において、「映像メディアの世紀」と言う連載が続いていますが、 5/24号では、ソニー側がVHSビデオの開発を検討した経緯が書かれています。 1983年の晩秋に、特命を受けた20名の技術者が隠密理にアイワに出向。アイワ側の技術者 8名と合同で、ソニーらしいVHSが作れるか見極める作業に入ったとか。当時、一年後に 8ミリビデオの発売を控えていたソニーがVHSの検討を始めたのは、岩間社長(8ミリビデオ の総指揮を執っておられた)の急死を受けて、社長に就任した大賀社長の判断が効いたよう です。秋葉原近くに研究室を構えたスタッフたちの間では、「世界一素晴らしいVHSを作って、 VHSが掲げた理念を超えてみせる」とか「VHSというフォーマットの中で最高のものを開発する」 と言う会話がやりとりされたのですが、どこからこの思いが消えたのでしょうか。 HR-20000以上のS-VHS機だって、ソニーなら世に送り出せたのではと言う気がするのです。
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投稿者:TS

>岩間社長(8ミリビデオの総指揮を執っておられた)の急死を受けて、 >社長に就任した大賀社長の判断が効いたようです。

大賀社長は、CD-Rの製品化を牽制し、MDを開発するよう指示した ことでも、AudioVideo界に大きな影響を残しました。 (単行本、ソニーの法則で、関係者が証言しています。)

>どこからこの思いが消えたのでしょうか。

結局、開発目標が「平均的なレンタルビデオをきれいにうつせるビデオ」 になってしまった時点で消えたのだと思います。 (この開発目標は、当時のHiViのインタビュー記事より) 限界性能を狙うのではなく、無難な線を狙うと。 S-VHSは余力があればやるが、ソフトがVHSしかない以上、 基本的にノーマルVHSがつくれればよいと判断したのでしょう。 建前としては、当時まだ主力であったBetaや8mmとの 「総合ビデオメーカー」としての自社内住み分けもありました。

#どちらの判断も、「ビジネス」としては成功しているわけですから、 購入価格帯で上位数%の集団(逸般人)にとっては 不満が残る選択でした。
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投稿者:Total Moled

HR20000以上のVHS機ですが、わたしはソニーには不可能だと考えます。 ソニーは一発を出す力は高いのですが熟成させる力が乏しいのでHR20000のようなこつこつ積み上げていくタイプは造れません。1点のみHR−20000を超えたものを造ることは出来ると思いますが。例えベータや8ミリでもそうだと思います。総合ビデオメーカーといっても実体が総合『大衆』ビデオメーカーになっているのは実はそういった社風を考慮し、1芸で勝負的なビデオを売る方があっていると判断したためでしょう。
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投稿者:ひろみっく

えーっとですね、VHSの規格決定の経緯とβとの関係とかを御存知ないかたの 書き込みだと思いますので、フォローしておきます。 そもそも、VHSのフォーマットに何か理念があって決まったものではなく(つ まり画質を考えて作られたフォーマットとはいえない)、まず記録時間ありき、で 作られているものだということを御了解ください。

ビデオの基本特許は全部といっていいほどソニーのものです。従って、VHSを 作って売るとソニーには特許料が入ります。一部メーカーとはクロスライセンス を契約していて、つまりビクターや松下もいつでもβにのりかえられるわけです。 もっとも、もう特許は切れているのかな。もうβ作らないでしょうし。

こつこつ積み上げてアナログ記録の最高峰を目ざすのなら、コンポーネントアナログ 記録のEDβなどが研究されていたわけです。つまり、現行のVHSのテープを 使うとしても全く互換性のないフォーマットであれば作り上げたかもしれません。 しかし、VHS発売メーカーは1つのテープに複数のフォーマットという事態は もちろん好まないでしょうし、自分達はすでに儲からなくなりつつあるビデオの 新規開発などするつもりもないでしょうし。

となると、その場でデジタル化したところでのコンポーネント化を決めて、どの案 も全て先送りして、いわゆる「VHSを売ってその資金をβの開発に投資する」 とマニアがささやいていた状況ができていたわけです。 フォーマットの時点でのことを知っている技術者がやる気がでないのは当然で しょうから責められないですし。 最近出てきた新事実としては、故松下幸之助氏がなんとかコンパチにできない ものかと最後まで言っていたとか。

たとえば、そういう意味ではW−VHSというのは凄く特殊な位置にあるわけで、 これについてはもう少し賛同メーカーが多ければもっと面白かったのに、と思う のですけどね。EDβとコンパチにするとか。確か発表時には同じテープを使っ ていたような記憶もあるんですが。AVフェアとかの。 デジタル8もまあそういうとこありますが。貧者のDV、と思えば嬉しいかも、と。

どうやらソニーもD−VHSデッキを準備しているようですし、今のメーカーと ユーザーの関係は昔程蜜月状態にないのではないかと。たとえば私はDIRECTVを DVで録画しようとは思うけれどもskyperfecTVのではそんな気がおきない、D-VHS が出てもそういうわけで全く興味がない、といった具合です。 といいつつも、音楽配信には興味があるのでたとえばこれだけのためとかであれ ばあっさり導入するかもしれません。

MDに関してもラジカセレベルのカセットよりはましだという判断の上でここ1 年くらいです、使うようになったのは。でも、メインはあくまでもDATです。 ソニーファンなのかもしれませんが、ソニーのやること全てについていきはしま せん。そういう時代は終っていると思いますし、ソニーもそう思わせてしまう 理念の薄いメーカーになってきていると感じています。ソニーだから、とかいった ことは既にないことなので。残念なことですが。

なによりも、CATVのデジタル化が早くすすめばさっさとそれに統合したいという 本音もあります。CATVも幹線部分はもうデジタル化されているので。 ということで、別にソニーにはソニーなりの遠慮もありやる気のなさもあり、の でそういうデッキしか出てこないのではないでしょうか。

で、ソニーらしいのはもう儲からなくなった今頃に新技術を投入したVHSを 出してきたりすることで、このあたり、クスクスしながら見守ってあげる、と いうことでよろしいのではないでしょうか。 大鑑巨砲時代が去ったところでDHR−1000が投入されるとか、そういう あたりも実はクスクス笑いながら、ユーザーとしては冷静な判断で、ということ なんですよね。

現実問題として、私は2台目のDVは松下の予定でした。リモコンの混乱を 避けたかったということもありましたから。まあ、買う前にソニーのテープ で問題が起きるということでしたのであきらめざるを得なかったのですが。 安く買えるところもなかったですし。どうしてもソニー関係でのショップ 人脈ばかりなんで。無理に商品の早い取りよせとかもできなかったですし。 それにしても、VTR1-6で足りないのにみなさんはどうやってリモコンを使用 しているのか?興味あるところです。よくミスするんですよ。

最後の燃え上がる炎、というのが現在の残っているフラッグシップのアナログデッキ なんだろうと思います。HR20000、X7、大事に使ってあげてください。 で、さらに入手難なSL−2100もよろしく、ということで。
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投稿者:アッキー

日経ビジネスの5/31号に続きが載っていました。これによると、ソニーからアイワに出向していた20名の技術者は、素晴らしいVHSプロトタイプを作り上げたようです。当初は「VHSはベータと、カセットサイズとローディング方式を変えた真似っこ」と見下していたそうなのですが、解析を始めてしばらく経つと、「VHSは作り易さをよく考えてある。ベータとVHSとは設計思想が全く異なる。思想の異なるものが同じ市場で戦っていた」と思うに至ったそうです。 プロトタイプを本社に提出した後、出向していた方々には「ビクターがソニーに対してVHS生産の許可を下ろさなかった」と、事実と異なる説明がされたそうです。ちょうどソニーが「ベータマックスはなくなるの?」と言う衝撃的な新聞広告を出す前後のことでしたが、真相はVHSに乗り出すのではなく、8ミリビデオに注力するためだったそうです。
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投稿者:ZZ

裏事情や専門知識の裏付けは無いのですが、アッキーさんの最後のカキコは私の推察に近いですね。 確かに、当時のソニー製βは性能もよく品質も確かだったように思いますが,高性能化していく過程で、他のβ側メーカーは技術的に追いつけなくなっていったように見受けられました。それに対して、VHSはメーカーの実力に応じて破綻無く作れていたように思います。結局、この差が市場を征する一因になったのではないでしょうか。できないことをやれと言われてもメーカーによっては無理でしか無い訳で・・・
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投稿者:Locus

> プロトタイプを本社に提出した後、出向していた方々には「ビクターがソニーに対して

企業の言うことはどこまでホントなのか分らないものだな〜と改めて感じてしまいます。
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投稿者:アッキー

ZZさん、Locusさん、同じ5/31号の記事の中で触れられていたことですが、VHSが伸びた一因と して、「ビクターが一生懸命にプリント用マシンを作って、各社に配った」との記述がありまし た。「プリント用マシン」と言うだけでは、プリント基板を作る機械なのか、ビデオソフトのダビ ングをする機械なのか曖昧なのですが、私は後者だと思います。テレビの録画と言う用途の他に、 市販ソフトを供給する体制を整えるのが早かったと言うことではないでしょうか。市販されたソフ トの多くは、パーソナルユーザーではなく、レンタル店などによって買い取られたと思うのです が。

選り抜きの20人の技術者が作ったVHSビデオを見てみたかったですね。全てをちゃらにした後で、 主要部分を三洋から提供してもらって世に出たのがSLV-R7だったのでしょうか?


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